診察室便り

 日常診療で感じたこと、最近の話題、メールへのご返事など、医療だけでなく、いろいろな話題にふれたいと思います。
  
  
  
  

2008年12月31日(水)
「八方塞がり」と、「八方開き」

 もう少しで今年も終わります。いつもならとても忙しい12月ですが、今年は特に大流行する病気もなく、比較的平穏な年でした。無事1年を過ごすことができ、ホッとしています。 

 私は占いなどまず信じることはありません。が、しかし、今年の初めに、知人から、九星気学とかいう占いによると、私は「八方塞がり」の年にあたり、大変な年になるといわれました。気にも止めませんでしたが、ちょっとは気になりましたので、職員一同八幡様でお払いをしました。新年会の余興くらいの感じで行ってきましたが、何となくこれで安心しました。(信じないと言ってもちょっとは気になるモンね。)

 別に根拠があるわけではないでしょうが、人間誰しも年をとるにつれて健康が心配になってきます。そういう時の警告みたいなものかなと思います。「八方塞がり」について、いろいろ調べてみたら、パワーのある人は逆に「八方開き」となり、とても良い年になるのだそうです。自分はパワーがあるのかな?どうもひ弱な感じですから、まず、「八方開き」にはなりませんでした。一年を振り返ってみますと、特に良いこともなく、特に悪いこともなく、普通の一年だったように思います。お払いのお陰(?)で平穏無事な一年だったのかな。なんて思っています。

 来年はどんな年になるんでしょうね。クリニックの仕事始めは、1月5日(月)からですが、私は明日1月1日の夜間診療所から始まります。「八方開き」でなくても「二〜三開き」くらいの年になればいいですね。皆さんも良いお年を迎えて下さい。

2008年12月17日(水)
細気管支炎について、お便り紹介

 ここ1週間くらい、1日1〜2人くらいのインフルエンザの患者さんをみますが、あまり大きな流行にはなっていないようです。11月7日の診察室便りに、急性細気管支炎について書きましたが、まだ、患者さんは結構いますね。今日は、その急性細気管支炎についてのお便りをいただきましたのでご紹介します。

A・Aさんからの


 鼻水・たんで通院していましたが、先日家に遊びに来た子(1か月半)がRSウイルスにかかっていました。土曜日に来たのですがその時点で咳をしていて、ここ数日でひどくなり、今日RSウイルスと診断されたそうです。

 いまのところひどい咳は見られませんが、日に何度かケホケホとしています。ただ、むせているだけかもしれません。母乳の飲みはいつもと変わりなく、吐き戻しはもともとよくあるのでこちらも普段と変わりはないと思います。ここ2日くらいいつもより睡眠が多いですが、機嫌が悪いということはありません。

 ネットでは潜伏期間は3〜4日と書いてありましたが、それ以降でも症状が出てくることはありますか?もし症状が出てきた場合は夜間でも病院へ連れて行った方がいいでしょうか?また、受診の目安はどんな症状でしょうか。

 よろしくお願いいたします。



 お便りありがとうございます。RSウイルスと診断されたということは急性細気管支炎ですね。この病気は、赤ちゃんに多い病気です。進行が早い場合が多く、ちょっと咳をしたり、鼻水が出るくらいの軽いカゼにみえても、半日くらいで呼吸困難になってしまうこともあります。ただ、細気管支炎になればみんなすぐ重症化するというわけでもなく、2〜3日くらいの間に徐々に悪化する場合もありますので、今の時期カゼをひいた赤ちゃんは注意して様子をみなければなりません。

 さてご質問の件ですが、潜伏期間は、3〜4日よりもう少し長く続き、1週間弱くらいまでは要注意です。お子さんの場合今のところ大丈夫と思われます。細気管支炎の症状で、一番心配なのは、呼吸が苦しくなることです。具体的には、ゼーゼー、ヒューヒューのような呼吸音。呼吸回数が多い。呼吸の度に、お腹、肋間、喉仏のあたりがへこむ(ペコペコした呼吸と表現すればいいでしょうか)。顔色が悪い。ミルクが飲めない。などなどです。夜間に悪化することも多いです。ちょっとわかりにくいかもしれませんが。このような苦しい呼吸がみられたら夜間でも病院を受診すべきと思います。もし受診した場合、診察した医師は呼吸状態について説明してくれます。「この状態は受診、これくらいなら受診しなくても大丈夫。」ということがわかると思いますので、よく聞いて次回からの参考にされればよいと思います。少し冷え込むと咳が増えてくるようでしたら一度受診してみて下さい。

 では、お大事にして下さい。

2008年12月10日(水)
インフルエンザ、そろそろ流行りそうです。

 今日、仙北地区の幼稚園児にインフルエンザA型が発生しました。お母さんも昨日A型に罹ったようです。昨年よりは流行の始まりが遅いですが、そろそろインフルエンザの季節が始まりそうです。
 ここ数年インフルエンザはあまり大きな流行がみられていません。それは、早期診断・早期治療が可能になったからだと思います。そのかわり、地域的な流行があちこちでみられ、結構長い期間にわたって、流行がみられるようになりました。おそらく年明けもダラダラと流行は続くと思いますので、まだ、ワクチンを接種してない方は早めに接種されるようお勧めします。

 よく、「インフルエンザワクチンは、接種した方がよいですか?」と聞かれることがあります。いろいろな考え方があると思いますが、私はワクチンを勧めています。「ワクチンで防ぐことのできる病気は全て防ぐ」というのが、原則と思っております。どうも、我が国では「ワクチン=副作用が心配」という考え方が浸透しているように感じます。接種するか、しないかは、個人の考え方でありますので、強制的に接種を勧めるものではないと思いますが、ワクチン接種せず、なんの準備もしないでインフルエンザを迎え撃つのは、大変勇気のいることです。新型はさておき毎年流行する通常のインフルエンザでも、罹った人はどれだけひどい病気かわかるはずです。少しでも健康被害を少なくするためにワクチン接種をお勧めします。

2008年12月6日(土)
Hib(ヒブ)ワクチン知ってますか?

 関東や関西ではインフルエンザが流行し始めてきたようですね。岩手県でも県南あたりでは少し出てきましたが、盛岡市内ではまだあまり流行ってはいないようです。今日はインフルエンザウイルスの話ではなく、インフルエンザ菌 b型のお話です。インフルエンザ菌 b型と言ってもピンとこない方も多いでしょうから、まず、こちら→ Hibワクチンのお知らせ を、一読されてから本日のブログを読んで下さい。

 Hib(ヒブ)ワクチンが、12月19日から接種できるようになりました。世界中の殆どの国々で接種されているのに我が国では今まで接種されていませんでしたが、やっと先進国と足並みを合わせることができます。
 
 Hibは、インフルエンザ菌 b型といって、冬に流行るインフルエンザウイルスとは全く別のものです。この菌による細菌性髄膜炎はきわめて重症です。それがこのHibワクチンによって殆ど予防できるわけですから、ありがたいことです。自分も今まで何人ものHib髄膜炎の患者さんを診てきました。その時の苦労話を2件ほどご紹介します。

 1件目はまだ、勤務医の頃の話です。日曜日の夜に、「カゼといわれて治療していたけどさっぱり熱が下がらない。どんどん具合が悪くなってるようだ」といって救急外来に来た4ヶ月の赤ちゃんがいました。当直は内科の先生でしたので、さっそく、<小児科オンコール>となり、その日の当番だった私が呼ばれました。経過は次のようでした。『2日前から39度の発熱、近くの小児科医院でカゼと診断されて抗生物質を処方されました。最初機嫌もよかったようですが、2日目に少し元気がないようなので、もう一度同じ先生を受診したら血液検査をして大丈夫心配ないといわれたそうです。そして、3日目朝から機嫌も悪く、泣いてばかりいたけど、だんだん泣く元気もなくなってあまり動かなくなったので心配になって救急外来を受診した』ということでした。ここまではよくあるカゼの話ですよね。(朝から具合が悪かったら、夜になる前にもっと早く来なさいよと言いたかったけど言いませんでしたよ。)

 私が診断した時点では、高熱が持続し殆ど食事もとれてないため脱水状態でしたが、体を反るような動作がみられ明らかに意識障害をおこしていました。血液検査をしてみましたら、異常なほど悪くなっています。肺炎とか尿路感染症とか中耳炎とかはありません。月齢、経過、症状から細菌性髄膜炎、特にHib髄膜炎を疑いました。確定診断するには、腰椎穿刺といって脊椎に針を刺して髄液の検査をしなければなりません。そのことをご両親にお話ししたら、「とてもかわいそうでそんな検査はしたくない」と拒否されました。しかし、診断できなければ治療もできません。もう一度ご説明しましたら、、お母さんは泣いて、お父さんは怒ってしまいました。まだ、私も30代の若い頃(?)でしたので「赤ちゃんがどうなってもいいのか、あんたらそれでも親か?」なんてことを言ってしまったモンだから、ますますこじれてしまい収拾がつかなくなりそうでしたが、一緒に居た婦長さんがやんわりと「お子さんのためですよ、痛いのは一瞬ですよ。先生はとても上手いですから。」といってくれて、やっと納得して腰椎穿刺を行うことができました。亀の甲より年の功?婦長さんに感謝です。

 結果はHib髄膜炎でした、とても重症な疾患であり命に関わる疾患であることをご説明しましたら、お父さん(とても過激なお父さんでした)は、最初に見た医者を訴えるなどと言い始めました。Hib髄膜炎は発熱後2日以内だと70%は診断がつかず、重症化するまで診断が難しいと言うことをご説明し、さらに医学書や医学論文などを見せてやっと納得してもらいました。幸いこの赤ちゃんは何一つ後遺症を残さず、完治することができましたが、もし不幸な転帰をとったり、重い後遺症を残したりしたらと思うとゾッとします。

 2件目は、開業してからです。土曜日に、昨日から熱を出して受診した6ヶ月の赤ちゃんです。生まれて初めての発熱と言うことでした、とても元気でしたので、なにも検査せず、突発性発疹かもしれませんね。なんていって外来経過観察ということにしました。その後受診しませんでしたので、もう治ったんだろうなと思ってましたが、しばらくしてから、また、カゼ症状で受診しました。その時、お母さんから、「先生に診て頂いたあと、けいれんを起こしたので救急病院を受診したら、熱性けいれんということで家で様子をみるようにいわれました。しかし、診察後もう一度けいれんを起こしたので、まず入院して様子をみましょうということになりました。その後も熱が下がらずミルクも吐くようになったので、細菌性髄膜炎を疑われ、検査したらHib髄膜炎でした。」というお話を伺いました。イヤ、ビックリです。
 さいわいこのお子さんも何一つ後遺症を残さず治癒できましたが。今度は開業医の立場でHib髄膜炎を経験しました。最初はわかりません。

 Hib髄膜炎はとても大変な病気です。これが予防できるのですから、多少お金はかかってもHibワクチンは接種したいワクチンです。本来であれば、国が全額補助し公費負担にすべきです。欧米の先進国は皆そうです。
 Hibワクチンは今のところ十分な本数がなく、受注販売の形をとっております。患者さんが申し込めばメーカーからワクチンが送られて接種するという形です。12月1日から受注が始まりました。当院でも12月1日の午後に二人分注文しましたが、受付番号は5000番台でした。12月1日受注が始まったとたんに午前中だけで全国から5000件以上の申し込みがあったようです。Hibに対する関心の深さが伺われます。決して強制するものではありませんが、Hibワクチンは接種すべきワクチンと思います。Hibが予防できることがわかれば、赤ちゃんの発熱に対しておびえることは殆どなくなります。

2008年11月24日(月)
勤労感謝の日
        










































 昨日は勤労感謝の日でしたね。そもそも、勤労感謝の日とは「勤労を尊び、生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう日」として、1948年に法律で決められました。昔は11月23日は「新嘗祭」(にいなめさい。または、しんじょうさい)といって、農作物の恵みに感謝する日でした。勤労によって農作物が得られるわけですから、働く人たちに感謝して、豊作を祝ってたのでしょうね。

 現代では、勤労=農作物だけではありませんし、肉体労働だけでなく、精神労働のように形で現れない労働もあります。勤労感謝の日は 「肉体的にも、精神的にも幅広い意味での労働によって、私達の文化遺産が築かれていくことを理解する日」とされています。なんか難しい言い方ですけど、簡単に言うと、一生懸命働いてくれるお父さん、お母さんのお陰で家族みんなが健全な生活が出来るわけですから、お父さん、お母さんに感謝しましょうという日ですね。小学校くらいになったらこのくらいのことは教えてあげた方がいいですよ。

 勤労感謝の日とは関係ありませんが、昨日秋田県の男鹿半島の水族館ガオにいってきました。小さい水族館でしたけど、アシカやペンギンもいました。海水魚もたくさんいました。クリニックで飼っている海水魚は小さい魚しかいませんが、さすがに水族館には大きな魚がたくさんいました。ちょっと飼えませんけど、見応えありますね。

 急性細気管支炎は、まだ流行ってます。赤ちゃんのゼイゼイは要注意です。毎年恒例のインフルエンザもボチボチ出てきました。集団で発生するとあっという間に広がりますけど、今のところ単発ですが、時間の問題です。

 新型インフルエンザの話題ですが、厚労省は一人でも新型インフルエンザが発生したら、その都道府県では幼稚園、学校を全て休校にする試案を出しました。エ〜ッと思われる人も多いと思いますけど、このくらいは必要と思います。問題は休校中の授業の遅れをどうするかです。教育委員会も頭いたいです。休校になったら塾にいこうなんて思ってはいけませんよ。塾も休校です。今まで全く不備だった新型インフルエンザ対策は、急ピッチで進んでいます。

2008年11月14日(金)
インフルエンザ発生!!

 今年も、インフルエンザの季節がやってきました。昨日、盛岡市で今年最初のインフルエンザの患者さん(成人)が発生しました。昨シーズンは11月7日でしたから、6日間遅れです。とはいえ、11月の発生は例年と比べるとかなり早いです。そのせいか今日はインフルエンザワクチンを接種する患者さんで混み合いました。

 よくカゼをひいたりして、なかなかワクチンができないと言うことを聞きますが、よほど具合が悪くなければ普通は接種できますので、カゼ薬を飲んでいてもワクチン接種したいなと思ったらいらして下さい。殆どの方は接種できますよ。むしろ飲んでる薬に問題がある時があります。ちょっと【強めのかゆみ止めや鼻の薬】で、セレスタミンとかヒスタブロックとかリンデロンとかいう薬がありますが、これみんな飲み薬のステロイド剤です。こんなモン長々と飲んでれば、必ず体の正常な免疫が抑えられて、いくらワクチン接種しても免疫ができにくく、殆ど効果が期待できません。飲み薬のステロイド剤は、めったに使わない薬です。これに対して、点鼻薬や、吸入薬や、塗り薬のステロイド剤は、通常の使い方では体に悪影響を及ぼすことはありませんので混同しないで下さい。

 インフルエンザの話からステロイドの話になりましたが、患者さんのお薬手帳を見ますと、【強めのかゆみ止めや鼻の薬】の飲み薬のステロイド剤を処方されているお子さんをよく見ます。ここだけちょっと本音で一言、「こんなモン、子どもに必要ないだろ!」

2008年11月7日(金)
急性細気管支炎が、流行!

 毎年、寒い季節になるとインフルエンザが流行りますけど、インフルエンザの前に流行る病気があります。急性細気管支炎 という病気のこと知ってますか。気管支は太い気管から徐々に枝分かれして細くなっていきます。この細い気管支が汚れて痰がつまったりして、とても呼吸が苦しくなります。RSウイルスというばい菌が原因になることが多いですけど。他のばい菌でもなります。特効薬もなく、赤ちゃんはただでさえ狭い気管支が狭くなるのでとても呼吸が苦しくなります。今日はこのような赤ちゃんを5人みました。そのうち3人は入院紹介しました。急性細気管支炎は入院治療になることが多いです。

 細気管支炎はなぜかインフルエンザとは同時に流行ることがなく、細気管支炎が流行ってる間は殆どインフルエンザがみられません。細気管支炎を起こすウイルスとインフルエンザウイルスは相性が悪いんでしょうか?でも、細気管支炎の流行が一段落する頃にはインフルエンザも増えてきますので、インフルエンザシーズンは近いです。

2008年11月4日(火)
そろそろ、インフルエンザ?

 この頃寒くなりましたね。今日は、2連休明けでとても外来は混み合いました。少し待ち時間が長くなりご迷惑をおかけました。特に流行っている病気らしいものはありませんが、やはり、発熱、咳が多いですね。いわゆる「カゼの季節」です。気管支喘息も多いですよ。9月、10月、11月の3ヶ月が一番発作がみられる時期です。

 インフルエンザワクチンは、10月14日から接種開始していますが、順調に皆さん接種されています。昨年、盛岡市で最初にインフルエンザの患者さんが発生したのは、11月7日でした。今年はどうでしょうか。自分の周囲のことしかわかりませんけど、今年はもう既に、関東、関西方面では学級閉鎖もみられています。早いところでは、10月6日栃木県の小学校、10月7日兵庫県の中学校、大阪の小学校、10月9日東京の中学校、10月20日神奈川県の幼稚園、などが学級閉鎖を行っています。
 10月上旬の閉鎖は例年と比べると、2ヶ月も早いそうです。去年も早い流行でしたが、今年も早くなりそうですね。備えあれば憂いなしです。早めにワクチン接種しましょう。

2008年10月26日(日)
タミフルの効かないインフルエンザ(耐性ウイルス)

 タミフルが効かないインフルエンザウイルス(耐性ウイルス)が、昨シーズンは国内でも9県の患者から見つかりました。詳しい内容は今日から岡山市で開かれる日本ウイルス学会で発表されるようですので、近いうちにマスコミでも報道されるでしょう。岡山まで行きたいですけど、時間的に無理ですのであとから資料を取り寄せて勉強します。
  
 昨シーズンは、比較的タミフルが効きやすいAソ連型(H1N1)の流行でしたが、そのAソ連型(H1N1)1713株を調べた結果、9県(山形、栃木、神奈川、長野、岐阜、愛知、兵庫、鳥取、島根)の計44株(2.6%)が、遺伝子の一部が変異し、タミフルが効かなくなったウイルスでした。
 なかでも、鳥取では68株中22株が耐性で、32.4%の高率です。隣接する兵庫は7.5%、島根は1.2%で、鳥取が突出している理由は不明ということです。 

 もともとタミフルの効かないウイルスは遺伝子変異により1万分の1くらいの確率で生じます。2006年ごろまでは国内で1%以下でしたが、07年11月以降、欧州などで増加傾向が見られるようになり、数十%という高い数値の報告が相次いでいます。
 欧州では、Aソ連型(H1N1)で2004年から昨シーズンまでに、タミフル耐性のウイルスは1%未満しか報告されていなかったのに対し、今シーズンは14%からタミフル耐性のウイルスが発見されています。また、あまりタミフルが使われていないノルウェーでの耐性ウイルスの検出率が70%だったことなど、不可思議なことが多く、現在のところ発生の原因は、はっきりわかっていません。

 昨年Aソ連型(H1N1)に罹った人でも、今年また罹れば今度はタミフルが効きにくいということもあるかもしれませんので、要注意です。

 ところで、リレンザはどうでしょうか。今のところリレンザには耐性ウイルスが少ないようですが、タミフルもリレンザも成分は同じですから、今後どうなるか。
 リレンザはあまり使われていないから耐性ウイルスが少ないのかもしれません。ちょっと気にはなります。

2008年10月19日(日)
今日は七五三

 今日は、休日当番日でしたが、あまり混み合いませんでした。それもそのはず、今日は七五三でしたね。最後に発熱で受診したお子さんは、きれいにメークアップしてましたので、お母さんに何かイベントがあったのですかとお伺いしましたら、七五三とのことでした。いいですね。私のところも昔行きましたよ。どうしても女の子が中心になりますね。写真見ても圧倒的の女の子の方が多いです。千歳飴買ってもらって写真とって、いい思い出になりますね。

 この頃少し気候が穏やかですので、あまり病気も流行ってないようですね。軽い発熱くらいの患者さんばかりでした。

 最近、よく町の薬局で薬を買って服薬しているお子さんを見ます。いわゆる市販薬ですが、実にたくさんありますね。今日来院した患者さんにも市販薬を飲んでる人けっこういましたね。自分もこの間、某ドラッグストアにいってみましたが、かぜ薬一つとっても、あるは、あるは、どれを買ったらいいのか迷ってしまいます。でも成分表示を見るとほとんど同じようなものばかりです。市販薬には、あまり子どもにはふさわしくない成分も含まれていますし、値段も結構高いです。米医薬品当局は、「市販かぜ薬は、副作用が多いので、2歳未満への投薬回避をするように」と勧告しています。ごもっともです。赤ちゃんや小さいお子さんは市販薬を飲まないようにしましょう。

 そうかと思うと、来年4月からコンビニでかぜ薬の販売ができるようになるみたいですね。薬って何だろうと考えてしまいますよ。どういう症状に対してどういう薬を処方するのか、薬同士の相互作用の心配はないのか、副作用の心配は、などなど、医師の診察なしで服薬するのはチョット危険と思います。よく薬だけほしいといってくる患者さんがいますけどよくないことですよ。いつも同じ症状というわけじゃないんだから、キチンと診察を受けてから薬をもらいましょうね。

2008年10月13日(月)
明日からインフルエンザワクチン接種開始

 今年もインフルエンザワクチンの季節になりました。例年同様10月中旬(10月14日)から接種開始します。
 詳しくはこちらを→インフルエンザ ワクチン の お知らせ

 昨年は10月からインフルエンザの患者さんが見られるようになり、11月中旬から流行が始まりました。早い流行でしたが、ワクチン接種を予定していた方々には、電話などでご連絡し、急いで接種をしました。何とか間に合いましたが、今年の流行もいつ始まるのか予測するのは困難です。

 毎年のことですが、マスコミがインフルエンザの報道をすると急にワクチン接種する人が増えます。マスコミの影響はとても大きいです。ワクチン接種しても効果が現れるまで、2週間くらいかかります。そこから5〜6ヶ月は効果が持続します。つまり10月に接種しても11月〜3月までは効果が十分期待できます。ときどき5月頃までインフルエンザが見られることもあります。もし、5月〜6月頃の流行に備えようと思えば、接種時期を遅らせることになりますが、そうすると、今度は昨年のような早い流行(11月)に対応できません。圧倒的に早い時期の流行の方が規模も大きく、重症な患者さんも多く見られます。やはり、11月〜3月に重点をおいて、早めに接種されるようお勧めします。

 よく、インフルエンザは、「冬に流行する」と言われますが、なぜでしょう。実のところよくわかっていないことも多く、いろんな推測があります。そもそも「冬」とは何を意味すのでしょうか?冬と言えば、季節ですが、それが意味するものは冬という気候そのものでしょうか?あるいは、冬という季節を持つ地理的特徴でしょうか?冬に流行るとすると考えるべき要因は何でしょうか?
 考えるべき要因はインフルエンザウイルスの問題と人間側の問題(行動パターン、住居を含めた暮らしぶり、身体状況など)の両面があります。インフルエンザウイルスは低温、低湿度(乾燥)で増えますので、冬という環境が適しているのは確かです。一方、人間に対しても、冬の乾燥した空気は人の気道粘膜にダメージを与えて、感染症を起こしやすくします。さらに、冬は寒いので多くの人が温かい狭い部屋に集まる傾向があります。体温が低下すると免疫力も下がると言われています。ということで冬に流行るという説明がなされています。もっともと思いますよね。しかし・・・、これ(冬に流行るということ)は温帯・寒帯地域の人間社会の話です。熱帯地域ではインフルエンザの流行は、1年中細々と続いているといわれています。そして、亜熱帯ではそれらの中間で、1年中細々と続いてるなかにもちょっとした流行の山があるといいます。一口に熱帯、亜熱帯といっても気候や、人々の生活様式が大きく異なり、実際、流行のパターンも様々なバリエーションがあります。冬〜低温・低湿度(乾燥)という単一イメージだけでは説明ができないことも多く、正直なところ、「冬に流行る」というはっきりとした説明は今のところなされていません。新型インフルエンザが世界中のどこでも、いつでも出現してもおかしくないと言われるのもわかりますね。

2008年10月5日(日)
秋は、アレルギーの季節。

 ちょっと寒くなったと思ったら、また少し暖かくなったような、この頃季節の変わり目を実感しますね。秋はアレルギーの人にとっては、歓迎しがたい季節です。朝夕の気温差は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎にとっては大敵です。空気の乾燥もアトピー性皮膚炎には不都合です。アレルギーの原因であるダニは夏に増えて秋に死んでしまいますが、ダニアレルギーは、ダニではなくダニの死骸が原因になりますので、やはり、秋に悪化します。と言うわけで、最近アレルギーの患者さんが多くなりました。

 以前は気管支喘息発作で入院するお子さんも多かったですけど最近は少なくなりました。医学の進歩もありますが、体力の向上も大きい要因です。ただ、気管支喘息は、重症は少なくなったけど、軽症が増えているというデータがでています。しかも乳幼児のような低年令に軽症喘息が増えてきています。社会環境の変化などいろいろな原因はあるでしょうが、乳幼児は体力もあまり強くなく、軽症といっても容易に増悪して入院治療が必要な事も多いです。

 2才以下の気管支喘息を乳児喘息といって、それ以上の年令と少し区別します。赤ちゃんが一度でもゼイゼイしたら乳児喘息というわけではありませんが、一度ゼイゼイすると2〜3週間はその影響が残り、カゼを引いたりするとすぐゼイゼイする事も多く、少しの間予防治療が必要になる事が多いです。特に保育園などでは、ただでさえ、カゼの多い季節ですから、ゼイゼイしやすい赤ちゃんは要注意です。少しでもゼイゼイしたら早めの治療がお勧めです。様子なんか見ないでいいから、ゼイゼイしたらさっさと受診しましょうね。