インフルエンザ ワクチンのお知らせ
早めに接種しましょう!

 今年も、もうじきインフルエンザの季節がやってきます。昨シーズンは大きな流行ではありませんでしたが、11月から流行が始まったため、ワクチン接種予定を繰り上げて行いました。

 ここ数年インフルエンザの流行状況は不規則であり、予測が難しくなっています。今までは、外来の混雑を緩和するため、また、個人の接種分を確保するためという考えで、予約していただいてからワクチン接種しておりました。

 しかし、昨年のように急に流行が早まると、予約予定を繰り上げて接種せざるをえません。そのため、11月下旬は外来が大変混雑しましたが、臨時に接種時間を設けたりして、何とか接種することができました。

 最近は、ワクチンの供給は十分になってきています。また、毎年接種される人数もほぼ一定していますので、数量的には予約をしなくても対処できるようになってきました。また、予約ありなしにかかわらず、早い時期に流行が見られれば接種は早めなければなりませんので、その場合、外来の混雑はやむを得ないと思います。

 以上のような状況をふまえて、今シーズンは、予約なしで来院順にワクチン接種をしたいと思います。接種時期ですが、ワクチンは9月下旬〜10月上旬に出荷されます。西日本では10月上旬から、東日本では10月中旬くらいから接種開始することが多いです。ワクチンの効果は5〜6ヶ月は続きますが、接種後、効果が発現するまで2週間はかかります。
 昨シーズンのように早い流行もあります。今年も、10月から接種を始めますので、なるべく早めに接種されるようにお勧めします。



(1).いつから始まるの?


接種開始:10月14日(火)〜

・問診票は受付にありますので、お持ち帰り頂いて、接種時に記入して持ってきて頂ければ待ち時間が短縮できます。またインフルエンザ問診票からもダウンロードできます。
・接種年令、回数:生後6ヶ月〜小学生は2回接種、中学生以上は1回接種
・料金(未定):昨年は1回:4.000円



(2).ワクチンだけ受ける場合、いつ行ってもいいの? 時間は?


ハイ、「インフルエンザワクチンのみの場合」は、予約はいりません。下記の受付時間内にいらして下さい。

  (水)・(木)の予防接種の時間帯:午後1時30分〜2時30分

  (月)〜(金)の一般診療の時間帯:午前11時30分まで :午後5時30分まで

  (土)の一般診療の時間帯:午後12時30分まで

  *(水):午後2時30分〜3時30分(11月〜12月のみ)
  *(土):午前8時30分〜9時(11月〜12月のみ)

  ※ ただし、乳児健診の時間帯(火)・(金)午後1時30分〜3時を除きます。
  ※ 11月〜12月は、インフルエンザ予防接種のため混み合いますので、接種時間帯を増設しました。→*(水)、*(土)


(3).一般診療もいっしょに受けたい場合は、予約するの?


ハイ、そうです。
「インフルエンザワクチン+一般診療の場合」は、必ず予約(656-5489または、ネット予約)を入れてから、一般診療の時間帯にいらして下さい。
 なお、「インフルエンザワクチン+乳児健診の場合」も、必ず予約(656-5489または、ネット予約)を入れてから乳児健診の時間帯にいらして下さい。




インフルエンザ ワクチン”について、
理解を深めましょう。

            
  <平成20年〜21年版>

(1).インフルエンザとは、


インフルエンザは、毎年冬に流行するカゼの親玉のようなものですが、欧米では、普通のカゼと区別して、重症疾患として取り扱っています。ふつうのカゼと大きく違う点は、発熱、咳、倦怠感などの症状が強く治りにくいということです。また、重症な合併症も多く、肺炎や気管支炎をおこして、入院することも珍らしくありません。小児では、けいれんをおこしたり、意識がなくなってしまうような脳炎・脳症などを併発し、危篤状態に陥ることもあります。また、高令者での重症化も問題になっています。



(2).インフルエンザワクチンの有効性→“重症化を防ぐ


@.インフルエンザウイルスは、毎年少しずつ構造が変化するため、それに合わせたワクチンが必要になります。前年に流行した株から、翌年に流行しそうな株を予測して作られるわけですが、いつもドンピシャリと一致するわけではありません。しかし、抗体には、よほどウイルスの株が違わないかぎり、似た形のウイルスとは反応し、その働きを中和するという能力がありますので、全くの新型でない限り、十分に効果が期待できます。 

A.インフルエンザウイルスは、まず最初に鼻の粘膜で増殖し、それから体内に入り込んで全身を駆けめぐり、時には肺炎、脳炎、心筋炎などの重篤な合併症を、引き起こします。これに対し、ワクチンは体内に抗体を作り、ウイルスが体内に入り込んでからの活動を抑制するように働いてくれます。ですから、ウイルスが鼻粘膜で増殖している時は(鼻水、咳、発熱など初期症状の頃)ワクチンの効果が十分みられない事もあります。ワクチンは、インフルエンザの感染を直接防ぐことはできないのです。ですから、軽度のかぜ症状はやむを得ないと思って下さい。
 しかし、この増殖したウイルスが体内に入り込んできた時に、ワクチンによってすでに作られている抗体が、ウイルスの活動を防いでくれるため、重篤な合併症を引き起こさないですむのです。ワクチンは、重症化を防いでくれると思って下さい。



(3)インフルエンザワクチンの副作用の心配は?


@.ワクチンに使われる成分(卵白など)に対して、アレルギーがある場合
★.アナフィラキシーショック(接種後15〜30分で、血圧低下、喘鳴、浮腫など)を、おこすことがありますので、接種前に皮内テストを行い、安全であることを確認してから行います。
★.接種後30分以内に、体調が悪くなったらすぐ診察を受けるようにして下さい。

A.ワクチンそのもの(不活化ウイルス)による場合
 インフルエンザワクチンは不活化ワクチンといってウイルスを死滅させてその成分を取り出して作られています。直接ウイルスを使っていませんから、ワクチンを接種してインフルエンザにかかるということはありません
 接種部位に発疹、腫脹が出現したり、軽い発熱、頭痛、倦怠感がみられることがありますが、自然に軽快することが殆どです。しかし、稀ではありますが、神経障害を引き起こすことが報告されています。けいれん、麻痺、脳炎、脳症、知覚障害、等が、報告されています。しかしながら、ワクチンとの因果関係が、はっきりしない場合が多く、殆どの場合回復しているようですが、どの程度ワクチンが関与しているかは、明らかではありません。
 マスコミは、発熱や接種部位の発疹、腫脹のような軽い症状も大げさに報告したり、因果関係がはっきりしなくても重篤な副作用扱いしてる場合がほとんどです。

 インフルエンザワクチンによる(と思われる)副作用の頻度は、他のワクチンと比べて決して多くはなく、重篤な副作用は、インフルエンザワクチン100万接種に対して、0.35という数字がでています。これを人数になおすと、2.000万人に7人が副作用がみられるということになります。ただし、これらのうち何例が確実にワクチンが原因なのかということは、判明していません。あくまで、ワクチンがあやしいと思われている場合でこの数値です。
 この数値を多いとみるか、少ないとみるかは、さておき、他のワクチンと比較してみると、麻疹(はしか)が100万あたり6.00、BCGが1.55、三種混合、ポリオ、日本脳炎、風疹は0.4〜0.6と報告されていますので、インフルエンザが、もっとも重篤な副作用が少ないと言えます。 

 最終的には、ワクチンを行うプラス面・マイナス面をよく見極めて、自分にとってプラス面(重症化を防ぐ)が、マイナス面(副作用)を上回ると考えたときに接種をすべきと思います。日本のワクチンは世界で最高水準のワクチンです。副作用は世界中で一番少ないと思われます。が、上述したような副作用もおこりうるということは知っておく必要があります。



(4).ワクチンの接種回数は、2回?、それとも、1回?


 従来、2回接種しないと効果がないように考えられていましたが、欧米では、小児は2回、成人は1回が普通です。1回接種で十分とするのは、成人ともなれば、今までに、何度かインフルエンザに罹患しているので、ワクチン株ウイルスと実際に流行してきたウイルスとが、よほど大きく違わなければ、共通部分の抗体がかなりカバーしてくれると考えられるからです。健康成人の場合は1回でも十分かもしれません。
 しかし、ワクチンの効果は、ワクチンを受ける人のこれまでの免疫の記憶と免疫応答力、そして、流行するウイルスの変異の程度で決まってきます。つまり、個人差が大きいのです。何回かかっても抗体価の上昇の少ない人もいれば、少しかかってもすぐに抗体価が上昇して免疫のできる人もいます。このように個人差が大きいので、成人でも一律に1回でよいともいいがたいところがあります。
 つまり、免疫力の弱い人は2回接種、ある程度免疫のある人は1回接種で十分ということになりますが、この区別が難しく、ケース・バイ・ケースと言わざるをえません。一応下記のような試案がありますが、参考程度と思って下さい。

(1).1回接種でもよい(と考えられている)場合
@.中学生以上の(健康な)方

(2).2回接種が望ましい場合。
@.小学生以下のお子さん。
A.今までに1回も接種を受けたことのない方。
B.一昨年、または、昨年インフルエンザにかからなかった方。
C.慢性の病気を持っている方(気管支喘息、糖尿病、高血圧など)。
D.集団生活をしている方(寮、学校、保育園など)。
E.不特定多数の方と接触のある職業の方、比較的密室での作業の多い方(タクシー、医療関係者など)。

★普段からカゼをひきやすく治りにくいような方は、2回接種が望ましいと思います。
★受験生も2回接種が望ましいと思います。
★昨年ワクチンを2回接種した方や、インフルエンザにかかった方は、1回でもよいという考え方もありますが、免疫のでき方には個人差が大きく、また、今シーズンもワクチン株が変更しますので、原則的には2回接種が望ましいと思います。
★ワクチンに含まれる抗体はA香港型、Aソ連型、B型の3種類で、それぞれいくつかタイプがあり、そのシーズンの流行を予測して製造されます。今年度は、A香港型、Aソ連型、B型の3種類、全てが、昨年度と変更になっていますので、今シーズンの流行を考えれば、低年令ほど2回接種が望ましいと思います。



(5).乳幼児のインフルエンザワクチン接種について


 

乳幼児は免疫力も弱く、インフルエンザに対して一番無防備な状態といえます。そのため、最近は乳幼児でも接種が行われるようになってきました。
 従来、1才未満ではあまりインフルエンザにかからないように考えられていましたが、そんなことはありません。6ヶ月くらいの赤ちゃんでも結構インフルエンザに罹患します。

 ただ、乳幼児の場合、免疫も未熟なせいか、接種しても0〜2才くらいまでは、十分抗体価が上昇しないこともあります。しかし、全く無効ということはありません。また、毎年接種をしていけば、次第に抗体価の上昇がみられてきます。

 乳幼児にとって、脅威となるのは1〜5才頃によく見られる脳炎・脳症です(1才未満の乳児では、脳炎・脳症はあまり見られません。)。インフルエンザに罹っても重症化しなければ、脳炎・脳症を起こさなくて済むという論理で、ワクチンの必要性を主張する学者もいます。

 保育園などで集団生活をしている乳幼児は、接種した方がよいと思います。保育園の保母さんたちも接種すべきでしょう。もし、家庭内にいるなら、一番身近にいるお父さん、お母さんはワクチンを接種して下さい。お家での感染は殆どご両親からです。


 

以上より、乳幼児のワクチン接種については

@.免疫のでき方が十分とは言えず、初年度はあまり効果が期待できないかもしれません。

A.しかし、毎年接種を続けていけば、次第に免疫はできやすくなると考えられ、1〜5才頃になってから初めてワクチン接種するよりも、その年令での効果が 期待できると思われます。(積立貯金のように考えればよいと思います。)

B.今年だけに限って言えば、乳幼児の周囲の人たち、つまり同居する家族が接種することにより乳幼児への感染はかなり防ぐことができると思います

予防接種をしないで、冬を迎えることは、丸腰でインフルエンザと闘うことになります。ワクチンは重症化を防いでくれます。積極的にワクチンを接種しましょう。