診察室便り

 日常診療で感じたこと、最近の話題、メールへのご返事など、医療だけでなく、いろいろな話題にふれたいと思います。
 
 

2008年3月30日(日)
駆け込み接種?

 麻疹・風疹第2期接種と、2種混合第2期接種は、明日3月31日までです。4月1日になると接種できなくなります。4月1日から小学校へ入学するお子さん、中学校へ入学するお子さんは忘れずに(といっても明日1日だけですが、)接種しましょう。
 
 4月からは、また制度がかわり、麻疹・風疹は中学校1年生と高校3年生でも接種することになります。詳しいお話しは4月になると学校から説明されますので、該当するお子さんは忘れずに早めに接種しましょうね。という具合に毎年同じ話をいていますけど、どうも接種率が上がらないようです。なぜでしょうね?
 
 特に、麻疹に関しては、その怖さがよくわからないのでしょうね。ときどき接種してない人を見かけます。麻疹にかかった方が完全に免疫が出来るとか、予防接種は副作用が心配とかいう人も結構います。現実に自分が罹らないとよくわからないかもしれないけど麻疹は本当にひどいですよ。ワクチンがなければ新型インフルエンザくらいの脅威ですよ。といってもピンときませんか。

 2種混合ワクチンも現行の制度のままでよいか?いつも疑問を感じています。2種とはジフテリア、破傷風のことです。幼児期は3種混合ですが、小学校6年生で接種する2種混合には百日咳が入っていません。昔、大人になると百日咳は罹らないように考えられていました。また、3種のうち百日咳のワクチン成分で腕がよく腫れました。これは年長児ほど強く見られました。そんなわけで現在は2種混合になりましたが、最近大人の百日咳がよく見られるようになりました。理由は簡単です。年令がすすむにつれて百日咳の免疫が少なくなるからです。つまり、現行の2種ではなく、3種が必要なわけですが、いっこうに改善の動きがありません。困ったモンです。

 日本の予防接種制度は改善すべき点が多々あります。それはさておき、明日1日だけですから、忘れないで接種しましょうね。

2008年3月21日(金)
麻疹・風疹予防接種

 麻疹・風疹予防接種は、現在、第1期(1回目)と第2期(2回目)の2回接種ですが、2回目は小学校入学前の1年間です。つまり、3月31日までですので、「4月から小学生になるお子さんは早めに接種しましょう。」と、よくお話ししていますが、皆さんお済みですか?。

 第2期が実施されるようになって2年目になりますが、昨年度の第2期の接種率はあまり高くはなかったようです。日本人は海外に行って麻疹を移してくるようですので、『麻疹の輸出国』などと呼ばれています。何とも残念なことです。
 きっちり予防接種をすれば、まず罹ることはないのですから、もっと積極的に接種すべきと思います。でも、日本の予防接種法では、「予防接種は強制するものではなく、勧めるもの〜勧奨接種」です。「接種した方がよいですよ」くらいの意味ですから、これでは麻疹の撲滅まで、まだまだ時間がかかりそうです。
 昨年春は、関東から成人を中心に麻疹が流行しました。また、今年も・・・。心配ですね。

 本日、今年高校を卒業して大学へ進学する方(お子さんとは呼びがたい)が麻疹抗体価の検査のために見えました。大学からの通知は、「麻疹の抗体を検査して感染のおそれがあれば予防接種をするように」という内容でした。ごもっともですが、仮に抗体が十分あったとしても、これから何年か経過するうちにおそらく抗体は少なくなり、感染の危険が出てきます。
 抗体を検査して、現在の状況を把握することはよいことですが、結果の如何に関わらず、麻疹ワクチンの効果は10年くらいと思っていた方がよいです。要するに1回接種では不十分ということです。海外では3回接種している国があるくらいです。

 4月からは、中学校1年生と高校3年生も2回目の接種を行うことになります。それぞれ第3期、第4期と呼んでますが、4回接種するのではないですよ。2回接種ですよ。1回目が第1期(1才になったらすぐ接種)、2回目が第2期、第3期、第4期です。詳しくはこちらをご覧下さい。→ 麻疹、風疹の予防接種法の改正について     

2008年3月9日(日)
紹介状

 3月は転勤の季節です。毎年今頃になると、患者さんから、「今度転勤することになりましたので、紹介状をお願いします。」とよくいわれます。せっかく盛岡の生活にも慣れてきた頃と思いますけど少し残念ですね。
 紹介状は継続的に治療をしているアレルギー疾患が殆どです。毎年10人〜15人くらいはかいていますが、かなり詳しくかいていますので、結構大変です。でも、転勤先で治療に困らないように、きちんとかいてますよ。
 4月になると紹介先の先生から、「詳細な紹介状ありがとうございます。」というご返事をいただきますが、「向こうの生活には慣れたかな?元気かな?」などと思ったりします。
 紹介状は、紹介先の医療機関用ともう一通、保護者用の計二通お渡ししています。内容は同じですので、保護者が今までの経過を知るのに便利と思います。

 4月になると今度は逆に紹介状を持参した患者さんがよく見えます。とても詳しい紹介状からとても簡単なものまでいろいろありますね。でも、結構長く治療されていても、紹介状はもらわなかったという患者さんもいます。そういう場合には、直接前医にお電話して経過を聞いたりしています。これからしばらく治療するわけですから、患者さんとのコミュニケーションをよくするためにも紹介状はあった方がよいです。

 ずーと前になりますが、気管支喘息のお子さんの紹介状を書いたところ、2年後に返事が来ました。イヤ、びっくりした。「この2年間発作が無かったようで・・・。しばらくぶりに発作を起こしたようで、本日受診しました。」という紹介先からの御返事でした。確かに軽症でそろそろ治療も終了できそうなお子さんでしたが、2年後に返事が来るとは思ってもいませんでした。元気でなによりと思うべきでしょうか。『便りの無いのはよい便り?』

2008年3月2日(日)
当番医

 今日は休日当番医でした。前回12月31日は猛烈に混み合いましたが、今回はその半分くらいの忙しさでした。

 そろそろインフルエンザも終息する頃と思ってましたけど、結構インフルエンザの患者さんいますね
。本日は8人診ましたけど、盛岡市の北方面:滝沢〜みたけ〜厨川〜黒石野あたりは、今流行中のようです。
 当院の近くでは、本宮小学校のお子さん1人でした。全員A型でしたが、そろそろB型が流行りそうです。受験生は要注意ですよ。

 インフルエンザにかくれてあまり目立たないけど、 溶連菌はすごく流行っています。昨年11月頃からズ〜と、患者さんが続いています。溶連菌が流行る年には腎炎がよく見られます。発熱、のどの痛み、発疹が見られたら、早めに受診しましょう。本日も溶連菌の患者さんは多かったですよ。

 本日終了間際にタバコを誤飲した赤ちゃんが受診しました。お父さんのタバコを食べたみたいですが口腔内にはタバコは見えず、臭いもしませんでした。胃洗浄は、必ずしも必要ではありませんが、今回は行いました。

 私が医者になりたての頃ご指導を受けた上司は、タバコ誤飲の赤ちゃんには必ず胃洗浄を行い、必ずその場に親を同伴させました。胃洗浄自体決して痛みを伴う医療行為ではありませんが、鼻からチューブを胃に通して、ガッチリ押さえ込んで行いますので、端で見ていると、とてもかわいそうに見えます。でもなぜこんなことになったのか?それは『タバコを放置していた親の責任以外のなにものでもない』のです。「かわいい我が子がこんなに苦しむのは誰が悪い?。もし、タバコよりももっと危険なものを誤飲したらどうなる?」ということを身をもって教えようという意図だったと思います。この是非はともかく、【タバコは百害あって一利なし】ということを、こういう事例からも自覚したいものです。当時の上司とは、今は亡き日赤小児科の阿部先生です。

 ところで、本日は予防接種週間ということで予防接種を希望されるお子さんには接種しようと準備してましたが、一人も来ませんでした!。何もわざわざ日曜日に接種することもないですよね・・・。予防接種週間は見直しが必要かもしれませんね。

2008年2月26日(火)
予防接種週間

 3月1日〜7日は予防接種週間です。ふだん仕事で受診できない人たちのために、通常の診療時間以外に予防接種を行おうというわけです。
 数年前から始まりましたが、人手の少ない時間帯に予防接種をして、もし事故でも起きたらどうするとか、時間外診療を助長することにならないかとか、いろいろな意見がありましたが、全国的に定着してきたようです。でも、盛岡市の場合、あまり受診する人はいないようです。

 3月に行う意味は、小学校6年生の2種混合ワクチン第2期と、4月に小学校入学するお子さんたちの麻疹・風疹予防接種の第2期とを、きちんと接種しようということに重点をおいているからです。特に麻疹・風疹予防接種の第2期の接種率はあまり高くないようですので、是非この機会に接種してほしいと思います。麻疹は本当に大変な病気です。今年も全国あちこちでもう患者さんが見られています。お隣の秋田県もそうですね。

 当院は3月2日(日)が休日当番医ですので、この日にも予防接種をすることにしました。接種予定の方は、前もって電話(635-8341)でご連絡下さるようお願いします。

2008年2月21日(木)
インフルエンザ“持続的小流行”?

 インフルエンザまだまだ、治まりませんね。でも少し、少なくなってきたように感じます。昨年11月7日に盛岡市で今シーズン最初のインフルエンザの患者さんが発生しましたが、3ヶ月以上たってもまだ流行しています。12月初旬から、インフルエンザの患者さんを見ない日はないです。今日も2名インフルエンザの患者さんが受診しました。

 以前はこんなに長く流行することはありませんでした。せいぜい3〜4週間流行して、サーと治まるというのが定番でした。ところが、近年のインフルエンザの流行は【爆発的な大流行はなくなったけど、長々と続く】というのが特徴です。
 爆発的な大流行がなくなったのは、ワクチンの普及、検査キット、タミフル、リレンザというインフルエンザに対する武器が整ってきたからと思います。
 すなわち、検査キットですぐ診断し、タミフル、リレンザを処方されれば短期間で治癒します。また、ワクチン接種していれば軽症で済みます。お家で2〜3日安静にしているだけでよくなります。
 昔のように熱が下がらないといって毎日受診する患者さんは見られなくなりました。おかげで院内でのインフルエンザ感染もなくなりました。というわけで、大流行は見られなくなってきましたが、なぜか、長々といつまでも流行します。もっと早く治まってもよさそうなのに・・・、昨年も、一昨年も7月までインフルエンザの患者さんを見ました。今年も結構長びくのでしょうね。
 「ある程度の人口が罹らないとインフルエンザは治まらない。」といった学者がいますが、はっきりした根拠があるわけではないです。でも確かにその通りかもしれません。

 インフルエンザについて私たちは、解っていることより解らないことの方が多いです。例えば、なぜ冬に流行するのか。解りますか?低温で乾燥するから?確かにそれもありますが、それだけで説明できるものでもありません。同じように冬に流行する嘔吐下痢症(いわゆるお腹のかぜ)もなぜ冬に流行するかよくわかっていません。

 ところで、今シーズンのインフルエンザは、例年より少し軽症かなという印象があります。今のところインフルエンザで入院紹介したお子さんは一人です。インフルエンザというよりも気管支炎がひどいため入院紹介しました。
 Aソ連型は、薬が効きやすいですので軽症が多いのでしょう。また、ワクチンもかなり効果があるようです。でも安心は禁物、A型の後には、B型が流行することが多いです。B型はA型に比べてタミフルの効果は落ちます。また、Aソ連型よりも強烈なA香港型もいつ流行するかわかりませんので、まだまだ、要注意ですよ。受験生は今からでもワクチン接種した方がよいですよ。

2008年2月19日(火)
声の欄

 毎日、新聞の【声の欄】を見ていますが、ときどき、「あれ?」と思うことがあります。そういう記事は、大体が非難めいたものです。医療に関する投書もよく見られますが、一方的な思いこみもあるように感じます。「話は双方から聞かなければわからないもの」と思っていますので、あまり中傷的な投書は読まないようにしています。
 
 でも、ときどきとても良い投書も見ます。それは大人ではなく、子どもの投書です。前向きな自己主張とでもいえばよいでしょうか。
 昨日の岩手日報夕刊に、中学校3年生の『予防意識持ちウイルス撃退』という投書がありました。
インフルエンザワクチン接種のこと、手洗い、うがいのこと、咳エチケットのことなど、インフルエンザ流行を防ぐためにみんなが強力することの必要性を述べています。さらに、「一人一人の意識を変え行動することによって、さまざまな問題に対処できる」と結んでいます。
 イヤ、なかなか立派ですよ。しっかりした考え方だと思います。自分が中学校3年生の時にはとてもかけない内容です。
 我々小児科医は、こういう子たちが育つように日常診療に励まなければならないです。

 数年前になりますが、やはり岩手日報夕刊に掲載された中学3年生女子の「幼児虐待について」とても印象に残る投書がありました。
 詳細は省きますが、私が感心したのは、「本来ぐっすり眠っているはずの夜遅い時間に、コンビニや、繁華街に小さな子ども、それも幼児をつれて歩くことは、虐待以外のなにものではない」という文面です。全くその通りです。

 こういう子たちがいる限り、日本の将来も捨てたもんではないだろう。こういう子たちのためにも小児科医は頑張らなければならない。と思うのであります。

2008年2月10日(日)
スキー

 今年の1月はとっても寒かったですが、2月になったら少し寒さが和らいだ感じがします。まだまだ、寒いことにはかわりありませんけど・・・。
 
 1月下旬から流行してきたインフルエンザは、なかなかおさまる気配がありません。先週前半は少し下火になたような気がしましたが、後半からまた患者さんが増えてきました。例年と比べると小学生が多いように思います。いつも思うことですが、受験シーズンまでにはおさまればよいですね。11月下旬に少しインフルエンザが流行始めた時には、ワクチン接種する人が大勢いましたが、今は殆どいません。不思議です?。

 今のところ、タミフルは普通に処方しています。A型インフルエンザの場合、タミフルやリレンザを使わなければ、4〜5日間発熱が続きます。タミフルやリレンザを処方しない医師もおりますが、軽症ならよいでしょうけど、4〜5日間我慢しているのは大変です。
 先日も、「漢方薬を処方されたけど、熱が下がらない」といって、受診したお子さんがいました。いつも漢方薬を飲んでいるならともかく、こういうときだけ処方されてもね・・・。確かに、漢方薬もある程度の効果は期待できますけど、個人差もありますし、インフルエンザにはっきりと有効な漢方薬はありません。あまり、過度の期待を持たせてはいけないですよね。

 昨日は、八幡平リゾートにスキーに行って来ました。少し硬い雪でしたけど、結構よかったですよ。子どもたちも転びながら楽しんでました。
 私は、学生時代を弘前(青森県)で過ごしました。とても雪の多いところです。スキー場まで電車で20〜30分でいけましたので、よくスキーに行きました。時々車を持っている友人に乗せてもらって、4〜5人で行ったりもしましたけど、そういう時は帰りに温泉によってきました。もちろん、泊まりじゃなくて入浴だけですけど、雪が降る露天風呂はとても気持ちがよかったですね。大阪や名古屋からきている友人は「向こうでは味わえない気分」と喜んでいました。今は、1年に1〜2回しか行きませんが、スキー場に行くだけで学生の頃を思い出します。雪の感触はとても気持ちがいいです。
来週は学会、再来週は夜間診療所、その次は当番医、というわけで今シーズンは1回きりかな?

2008年1月28日(月)
インフルエンザ第2弾? もう麻疹?

 先週末からインフルエンザが増えてきました。保育園〜幼稚園〜小学校と、年末にはあまり流行らなかったところから患者さんが発生してきました。当院の近辺では本宮〜都南方面が目立ちます。本宮小学校、羽場小学校、見前南小学校、要注意です。今のところ爆発的な流行にはなってませんが、例年ならこれからが本番です。

 12月の流行はたいしたこと無かったですが、2月はチョット怖いですよ。11月後半から12月前半にかけて、ワクチン接種する人が多かったですけど最近はあまり接種する人がいませんね。毎年のことですが、流行が一段落するとホッとして安心してしまうんでしょうね。まだまだ、流行は続きそうですからこれからでも接種した方がよいですよ。

 インフルエンザとは違いますが、また今年も麻疹が流行しそうです。もうあちこちで患者さんが見られるようになりました。
1月13日までの2週間に全国の医療機関から報告された麻疹の患者数は計145人。神奈川県の44人をトップに、北海道22人、福岡県16人、東京都13人、秋田県10人・・・ということです。年齢別では、10代が44%と最も多いようです。麻疹ワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)接種を忘れないようにして下さいね。

2008年1月23日(水)
お腹のかぜと腸重責

 新学期も始まり、みんな元気に学校や幼稚園に通っているようですね。年末に少し流行したインフルエンザはまだ、地域的な流行を繰り返しています。年が明けてからインフルエンザの患者さんを診ない日はありません。もっとも、1日2〜3人ですけどね。
 以前は一気に流行し、一気に終息しましたが、今は、大きな流行はなくなりました。おそらく、『早期診断、早期治療』の効果でしょう。そのかわり、長々とあちこちで小さな流行が続くようになりました。
インフルエンザは、ある程度の人口が感染して免疫を持つようになるまで、暴れるようです。まだまだ、要注意ですよ。

 今年も、お腹のかぜ(急性胃腸炎)は流行ってます。でも軽症が多いですね。今日お腹のかぜのお子さんに点滴しましたけど、お母さんから、「吐き気止めの坐薬を常備した方がよいのでしょうか」と聞かれました。結構、皆さんお家に持っているようですね。でも、吐き気止めは安易に使わない方がよいですよ。お腹のかぜで吐くということは、バイ菌を体外に出すために吐くのですから、いわば体を守るための行為でもあるのです。ですから、いくら薬で止めようとしてもすぐにおさまることはないです。むしろ、薬で強引に胃や腸の動きを押さえ込まれて、かえってひどくなることもあります。
 私は大体、吐き気止め坐薬を使う年令のお子さんには、1回の処方で2個しか出しません。「もっと出してほしい」といわれることもありますが、1日に何回も吐き気止め坐薬が必要な時は、少〜し具合が悪い時か、あるいは他の病気(例えば、腸重責)がかくれているかもしれませんので、もう1度受診するようにお話ししています。

 ところで、腸重責という病気をご存知ですか?。 2〜3才以下のお子さんに多い病気です。腸が腸にめり込んで全く動かなくなり、何度も嘔吐しますので、早めの処置が必要です。この場合、吐き気止めを使っても吐き気はおさまらないばかりかどんどんひどくなります。腸重責はお腹のカゼの流行る冬場に多く、お腹のかぜのウイルスが原因の時もあります。
 嘔吐は共通の症状ですが、お腹のかぜと比べると、腸重責では、腹痛、血便(よく、イチゴジャムに例えられます)が多く見られます。しかし、腹痛は軽く、血便も見られないこともありますので、チョット、わかりにくい時もあります。
 昨年も今頃腸重責のお子さんを診ました。無事よくなりましたが、発見が遅れると結構大変です。今の時期、何回も嘔吐する時は腸重責のことも考えて、あまり吐き気止めばかり使わず、早めに小児科を受診しましょうね。、

2008年1月15日(火)
最強ウイルス

 1月12日、13日と2日間続けてNHKで新型インフルエンザ の放送がありました。ご覧になった方も多いと思います。鳥インフルエンザが人〜人感染するようになり、新型インフルエンザが登場するのも時間の問題ともいわれています。12日のドラマは新型インフルエンザが日本海に面した小さな村から発生して、瞬く間に日本中に拡がり多くの犠牲者を出すというものでした。とてもわかりやすく作られた良いドラマと思います。

 しかし、実際に新型が発生すればこの程度じゃすまないでしょう。ドラマでは最初から新型と診断されていますが、新型は現在の検査キットではわかりませんから、患者さんの検体を新型が検査できる機関(国立感染症研究所のような所)へ送って調べてもらうことになります。
 つまり、新型を疑わない限りそこまで検査はしませんから、どのような症状で新型を疑うかということが、ポイントとなります。普通のインフルエンザも新型も最初の症状はそんなに違いません。
 ドラマではとてもスムーズに新型の感染がわかりましたが、実際にはこんなに簡単に見つかるとは思えません。かなり重症なインフルエンザの患者さんが増え始めた時、初めて新型の検査が行われるように思います。当然その間にも感染は拡がっていくはずです。

 このドラマはあちこちに問題がたくさん提起されています。例えば、病院の廊下にたくさんの患者さんがいましたね。入院ベッドがない状態だから・・・?。でも、病室以外には入院患者さんを受け入れることはできません。となると、現在入院している少し元気な人は半ば強制退院ということになるのでしょうか?。特殊な状況だから、廊下にベッドを置いても良いということにはならないでしょう。ベッド不足をどう解決するのか?。

 一番興味をひいたのが、省庁(課長)連絡会議でした。“何も決まらない会議”でしたね。「大事なことは、ことが起きた時に何ができるか」というセリフがありました。まさにその通りですが、実際は、何もできないという実に不備な状態なのです。
 例えば、「空港を閉鎖する。電車を止める。〜それは誰の権限で?。」、「患者、地域の封じ込めをする。〜人権問題にならないか?。経済損失は誰が保証するのか?。」、「学校を休みにする。〜その間の授業はどうする?。」、「プレパンデミックワクチンの接種優先順位は?。」、「タミフルは十分な量あるのか?。効かない場合は、どうするのか?。」、「人が集まるデパートは営業自粛〜営業利益の損失保証は?。物価が上がらないか?。」、などなど、こういう事態に対して何一つ対策ができてないのが現実です。
 もはや医師の力だけではどうにもならないのです。行政が積極的に動いてくれないと何も決まりません。

 「新型インフルエンザはインフルエンザではない。」という学者がいます。この意味は、「新型は、通常のインフルエンザを、はるかにしのぐとんでもない病気」ということです。国民の命を守るため、国〜県〜市という行政間のスムーズな連携を急ぐ時にきています。

2008年1月11日(金)
「危険運転」認めず・・・?。

 一昨年(平成18年8月)、幼児3人が犠牲になった福岡市の飲酒運転事故の判決が、1月8日福岡地裁で下されました。被告への量刑は、【危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)】を認めず、【業務上過失致死傷罪】と【道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)】とを合わせて上限の『懲役7年6ヶ月』でした。
 【危険運転致死傷罪】が成立するには、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」ということですが、これが立件できなかったということです。

 この報道があった後、各新聞社に多くの投書があったようです。その多くは「刑が軽すぎる」というものですが、「厳格な法解釈に基づく妥当な判決」という少数意見もあったようです。

 裁判長は、「酔っぱらった状態にあったことは明らか」としながらも、「スナックから、事故現場まで蛇行運転や居眠り運転をせず衝突事故も起こさなかった。」ことや、「事故直前、急ブレーキをかけハンドルを切った。」ことなどを重視し、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態にあったと認めることはできない。」と判断しています。さらに、「景色を眺める感じで脇見をしていた。」とする被告の供述の信用性を認め、事故の原因については、「漫然と脇見をしたこと。」にあったと結論づけました。

 この判決に納得する人はいるのでしょうか?。事故の原因は脇見運転?。だったら、全ての酔っぱらい運転は脇見運転で片づけられてしまうだろう。3人の幼児がなくなったのは、危険運転によることは明らかです。その原因がアルコールだろうが、脇見だろうが、『懲役7年6ヶ月』は、軽すぎるのではないでしょうか。

 この被告は、大量の水を飲んでアルコール濃度を薄めてごまかそうとしました。極めて悪質です。にもかかわらず、この判決は全て被告に都合よくできている。法律をいじくりまわして無理矢理罪を軽くしているようにしか思えない。これでよいのだろうか、愛する3人の子を一瞬にして失ったご両親の無念さは、如何ばかりのものであろうか・・・。

 こんな判決では、今後も酔っぱらい運転は無くならないだろう。チョット酒が強いなんて思ってる奴は、「蛇行運転や居眠り運転をせず衝突事故も起こさず、急ブレーキをかけハンドルを切って、脇見をしていた。」で、罪は軽くなるなんて思ってるんじゃないか。
 今回の判決が今後の酔っぱらい運転の裁判の判例になってしまうのか?。それでよいのだろうか?。
 
 何のための法律なのか、誰のための法律なのか、大岡越前のような裁判官はいないのか、日本の国は正直者が馬鹿を見るような国になってしまったのだろうか。

 とても悲しい出来事です。 

2008年1月6日(日)
海水魚


























 昨年暮れから、新しい水槽でイソギンチャクとクマノミを共生させようと思っていましたが、なかなか“活きのいい”イソギンチャクが入荷してこないので、エビ(スカンクシュリンプ)に変更しました。
 エビは大人しく、チョット強い海水魚が一緒だと、どうしても危害を被ってしまいますので、デバスズメや、ハタタテハゼのような大人しい魚と一緒にしてみました。今のところ共存しています。多分大丈夫と思っています。
 エビはよく脱皮しますので、抜け殻が水槽にプカプカ浮かんでることがあります。驚かないようにね。

 新年は今のところ平穏です。まだ、急性胃腸炎(お腹のかぜ)や、インフルエンザの患者さんを見ます。
 インフルエンザはここ数年大流行はありませんが。ダラダラと夏頃まで続くようになりました。今年も長々と続くかもしれませんね。
 A香港型はまだ、殆ど流行していないようですが、こちらの方が、年末に流行したAソ連型より強烈ですので、十分用心して下さい。薬の効きも若干落ちます。やはり、ワクチンですよ。
 学校が始まるとまた、いろいろ流行ってくるでしょう。しばらくは落ちついた日々と思います。


 今年のサッカー、遠野高校は、残念でした。昨年の盛商とまではいかなくても国立までは何とかと思っていましたが、でも岩手県として、4年連続ベスト8は立派ですよ。これからもがんばれ。

2008年1月1日(火)
あけまして おめでとうございます。

 あけまして おめでとうございます。今日は八幡宮に初詣に行って来ました。私が子どもの頃は、祖父によく連れて行ってもらいました。なぜか、朝早く(と言うよりは、未明に)出かけました。眠いけど外に出ると寒さで“シャキッ”としました。昔は【元朝参り】と言って、早朝にお参りするのが習わしだったようです。帰りに出店で何か買ってもらうのがとても楽しみでした。今も店は多いですね。

 いつものことながらずいぶん人がでています。お参りするまで1時間くらい並びました。みんなきちんと順番を守ってお参りしていました。こういうところで割り込んだりすると、お願いが叶わないと思うんでしょう。何事もルールを守ることが大切ですよね。でも、みんなの願い事を全て聞くとなると、神様も大変ですね。


 昨日は当番医でとても忙しかったです。今日はのんびりしています。でも3日は夜間診療所なんですよ。新年は1月5日(土)から診療開始します。

 今年もきっとよい1年でありますように。