発熱と熱さまし

 発熱は心配ないといっても・・・

 坐薬(熱さまし)を使いすぎないように、注意しましょう!!


 小さいお子さんはよく熱を出しますよね。昔から、“知恵熱”なんて言う言葉もあり、殆どの場合、心配のないことなんですが、でも、やっぱり心配ですよね。ここでは、なぜ熱が出るかと言うこと(とても簡単に書きます。)と、熱に対する対処法(少し詳しく書きます。)をお話します。


 ◆ どうして熱がでるの?

 発熱原因のビッグ3として、感染症、悪性腫瘍、膠原病、がよくあげられますが、なんと言っても感染症が圧倒的に多いです。悪性腫瘍とは、いわゆるガンですが、決して多いものではなく、また、膠原病は免疫異常から発熱しますが、これも日常そんなにみられる疾患ではありません。ということから、発熱の原因の殆どは感染症と考えてよろしいと思います。でも、悪性腫瘍や膠原病も心配だと思われるかもしれませんが、私たち小児科医は、そのような病気を疑えば、すぐ適切な処置をしますからご安心下さい。

 では、感染症では、なぜ熱が出るのでしょう。かぜをひいたときのように、体内にバイ菌が入ってくると、私たちの体の中では、このバイ菌をやっつけるため、免疫の働きが活発になり、その結果、発熱を生じます。発熱はこのように免疫が体を守ろうとして活発になるために生じるのです。簡単に言うと、バイ菌をやっつけるために発熱していると思えばいいです。ですから、むやみに熱を下げない方が治りが早いとも言えます。


 ◆ まず、冷やしてあげましょう。そして、水分補給をしましょう

 熱があるときは、冷やすことが大切です。アイスノンや、氷のうなどで、後頭部や、脇の下などを冷やして下さい。

 「熱冷まシート」のような製品には、坐薬に含まれている解熱効果のある成分は含まれていません。貼るとスースーして気持ちのよいメンソレータムのようなものですので、普通に使ってよいと思います。ただ、稀ではありますが、貼った皮膚にかぶれができることがありますので(接触性皮膚炎)、皮膚の柔らかいところ(脇の下など)には貼らない方がよいです。

 水分補給は短期間でしたら、湯冷まし、お茶、イオン飲料などで良いですが、長引くときは、OS-1やソリタ顆粒のような経口補液剤(飲む点滴です)が望ましいです。


 ◆ 坐薬(熱さまし)の使い方

@.38.5度以上(小学生以上では38度以上)は一つの目安ですが、38.5度以上の熱が出たからといって、すぐ坐薬(熱さまし)を使う必要はありません。多くの場合、自然に解熱します。また、感染症の場合は、熱の上がり始めは免疫が活発に働いており、坐薬を使っても下がりません。熱が上がるだけ上がって、元気がない、ぐずつくような場合に使ってみましょう。「熱を下げない方が治りが早い」のは確かですが、高熱が続き具合が悪いときは、いつまでもがまんしないで使ってかまいません。バイ菌との戦いは一時休戦です。

A.一度使ったら、次に使うまでは6〜8時間の間隔を置いてください。、

B.もし熱性けいれんの既往がある場合は、先にけいれん予防の坐薬を使い、30分後にまだ発熱が続いてるようなら、そこで熱さましの坐薬を使ってください。

C.一般に熱さましを使ってもよい月令は、生後6ヶ月以上です。生後6ヶ月未満乳児の発熱は、時として重症な感染症が、かくれている場合もありますので、熱さましなど使わずに早めに受診するようにして下さい。


 ◆ 坐薬(熱さまし)を使っても、熱が下がらないときは?

 前述したように、発熱はバイ菌をやっつけて体を守るための正常な免疫反応ですから、坐薬(熱さまし)を使ってもすぐに下がらないことがあります。これは、まだバイ菌が暴れているからです。少し時間がたてば体の免疫力が強まり、自然に解熱します。それまでの間、きちんと薬を飲み、脱水症状などをおこさないようにすることが大切です。

 坐薬(熱さまし)は、一時的に熱を下げるにすぎません。根本的治療ではありませんので、一般に坐薬(熱さまし)を使っても熱が下がらないときは、以下の事項に留意して下さい。

@.そんなに元気がないわけじゃない。いつもの半分くらいは食べたり飲んだりしている。→まず心配ありません。しかし、いくら元気でも、3日以上熱が続けば、必ず、受診して下さい。

A.前の日と比べて、悪くなっているようなとき。→あまり様子など見ることなく、早めに受診して下さい。

B.食べない、飲まない、元気がない、グッタリしている。→そういうときは、熱だけの問題ではなく重症な場合もありますので、早めに受診して下さい。

★.熱が下がらないからといって坐薬(熱さまし)を使いすぎるのは危険なことです。必ず、決められた回数(個数)を守ってください。それ以上に使わざるを得ないような時は、すでに坐薬(熱さまし)だけでの治療では無理ですので、次の段階の治療に進む必要があります。1日に2回以上使うときは、翌日必ず、診察を受けに受診するようにしましょう。